オフィス宝塚

経絡についてもう少し詳しく(後編)

前編はこちら

 

経絡というルートを使って内臓に「水」を送り込めるというお話でした。

 

この理屈を逆に考えれば内臓が「水」を必要として、手足に行く分を引っ張ってきているとも考えられるわけです。

 

さて、冒頭の同級生ですが、手の中指には心包経という心臓に関わる経絡があります。

 

そこが冷たくなる=血流が悪くなるということは、心臓が経絡を流れる「水」を必要とするぐらい頑張っていると考えます。  

 

「動悸はしない?」  

 

「そう言えば…時々胸がワサワサすることあるかなぁ」  

 

ということは、心臓が悪い?…とここで簡単に結論づけません。  

 

なぜ心臓が「水」を必要としたか考えます。

 

彼女の職業はバーテンダーでした。

 

ほぼ毎日夜遅くまでお酒を飲みますから、アルコールの分解で肝臓が「水」を必要とします。

 

さらに仕事の合間やお昼間にアクセサリーを製作しているので目をよく使います。

 

東洋医学では目と肝は密接に関係しています。  

 

そして、甘いものが大好き!となれば肝臓はフル回転です。

 

そして運動不足で還って来る血も少ない。

 

還ってくる血液が少ないと出すものがないので心臓は出したくても出せない状態でしんどくなります。 

 

「水」を肝臓に送るために心臓がパクパクパクパク打って頑張っていた、だから心包経に「水」が足りなくなった、と考えます。

 

彼女には

・あっさりしたものを食べること(胃にあまり行かないように=肝臓にスムーズに血を送るため)

・甘いものを控えること

・夜中はしっかり目を休めること

・ウォーキングなど運動する(心臓に血を還してあげる=心臓は還ってきた分出してくれます)

ことをアドバイスしました。  

 

このケースではこのまま放っておいたら不整脈などホンマもんの心臓の症状が出てきてしまう可能性もあります。

 

本当に病気になるその前に身体が教えてくれているとも言えますね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

私は、様々な治療を試してみても、なかなか改善しない体調不良でお悩みの患者さんのお手伝いをさせていただきたいと思い、日々鍼灸治療を行なっています。

 

もう治らないとあきらめておられる方、私の症状はどうかしら…と心当たりのある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

経絡についてもう少し詳しく(前編)

「なんかこないだから左手の中指だけが冷たく感じるんやけど…これって何かの病気かな?」  

 

先日同級生(女性)からこんな相談を受けました。  

 

私はこの話を聞いた時、内臓の問題が経絡へ影響しているのでは?と考えました。  

 

ということで今回は経絡とは何か?ということをもう少し詳しくご説明したいと思います。 

 

それにはまず経穴(ツボ)と経絡をおさらいしましょう。

 

ツボとツボを結んだ線が経絡でした(こちら)。

例えば、足のふくらはぎをギューッと締めつけたら血流は足に行かなくなりますね。

 

足に行かなくなった分、お腹の内臓に流れ込む量が増えます。  

 

鍼灸治療はこれと同じような事をしています。

 

打ち方によって流れを早めたり、遅くさせたり、止めたり…そういう血液も含めた「水」の状態を調整するときに経絡を使います。

 

私が「東洋医学は「水」の医学です」と言うのはこういうことからです。

 

その「水」が少なくなっているのか、多すぎるのか、あるいは足りないために発熱しているのか、多すぎて冷えているのかということを考えます。

 

例えば「水」が少なすぎて流れなければ、モノが詰まりますね。 

 

身近な例で言えば便秘です。

 

便秘するとウンチとして排泄しなくてはならない毒(熱)が体内に残ってあちこちで悪さをします。

 

腰痛、しびれや痛み、四十肩、脳に行けば認知症やパーキンソン病など。

 

そこで胃腸に関連する経絡上のツボを使います。

 

胃腸に「水」を送ることで詰まっているモノが流せると、便が出て毒が出て行く、こんな感じです。ちょっと長くなりましたので、後編に続きます。

 

私は、様々な治療を試してみても、なかなか改善しない体調不良でお悩みの患者さんのお手伝いをさせていただきたいと思い、日々鍼灸治療を行なっています。

 

もう治らないとあきらめておられる方、私の症状はどうかしら…と心当たりのある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

〇〇に効くツボ!

患者さんからよく「〇〇に効くツボってあるんですか?」という質問を受けます。

 

答えは「そんな万能なものありません!」

 

例えば、前回お話しした、「足三里(あしさんり)」でご説明します。

 

三里は「足の陽明胃経」という経絡上のツボです。

このツボは、ネットで調べますと…疲労回復や腹痛、下痢、嘔吐、便秘など胃腸の不調、ひざ痛や足のしびれなど足のトラブルなどに効くとされています。

 

すごすぎますよね。

 

でもそれは一定の条件の元での話です。

 

その一定の条件というのが鍼灸師が患者さんの脈・舌・お腹などを確認するということです。

その確認を基にこれまでお話ししたように、どうすれば身体の中の「水」を動かせるかという視点でツボを選択しています。

 

ひざ痛だからといって、どんな患者さん相手でも同じツボを選択することはありません。

 

極端に思われるかもしれませんが、肩こりの方と同じツボを選択することもあります。

 

ひざが痛くなった、肩こりになった、その原因と言える循環障害、その奥にある自律神経の働きを調えることに視点を置いているからです。

 

この症状に対してこのツボ、というものではないということです。

 

実際そのツボを刺激することで、何かわからないけど効いた!なんてことはあるかもしれません。

 

それはそれで良いかもしれませんが…。

 

なので、テレビや雑誌で「〇〇に効くツボ!」として紹介されるんでしょう。

 

でもそれはあくまで「たまたま」です。

 

効果は短く、根本的な解決になりません。

 

私は、様々な治療を試してみても、なかなか改善しない体調不良でお悩みの患者さんのお手伝いをさせていただきたいと思い、日々鍼灸治療を行なっています。

 

もう治らないとあきらめておられる方、私の症状はどうかしら…と心当たりのある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ツボって何?

前回の続きで今回はツボのお話しです。

 

ツボは血管や神経、筋肉の上に存在しています。

 

現在WHO(世界保健機関)が定めているツボの数はなんと!361穴あります。

下はツボの模式図です。

 

ツボを押さえたり鍼やお灸をすると、その刺激がツボにある血管や神経、筋肉に伝わって、血管を収縮させたり弛めたりします。

 

そうやって身体の中の「水」の流れを調整して循環障害を解消していきます。

 

病気になる時の法則を考えながら循環を整え、身体が治る道筋を整えていきます。

 

原因となる循環障害が解消できれば、不快な症状が消えていくわけです。

 

本来自分が持っている力(自然治癒力)を使って治していくので、身体に優しい治療法なんですね。

 

余談ですが、そんな鍼灸は海外でも注目されています。

 

1997年NIH(アメリカ国立衛生研究所) から、鍼の有効性に関する見解が発表されました。

 

鍼灸療法の病気に対する効果とその科学的根拠が認められ、西洋医学の代替医療として有効であるという内容です。

 

WHO(世界保健機関)でも、以下のような様々な症状や疾患について鍼灸療法の有効性を認めています。

【神経系疾患】

神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

【運動器系疾患】

関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

【循環器系疾患】

心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

【呼吸器系疾患】

気管支炎・喘息・風邪および予防

【消化器系疾患】

胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

【代謝内分泌系疾患】

バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

【生殖・泌尿器系疾患】

膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

【婦人科系疾患】

更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

【耳鼻咽喉科系疾患】

中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

【眼科系疾患】

眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

【小児科系疾患】

小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

 

さて、話を戻しますね。

 

ツボとツボを結んだ線を経絡(けいらく)と言います。

 

例えば胃経とか、肺経といったように五臓六腑(内臓)の名前が付けられています。

 

これは胃経(胃の経絡)を現した絵です。

昔の人が、胃経のツボであれば胃に流れ込む「水」を調整するといったような、内臓に流れ込む「水」を調整するルートととして発見したものです。

 

ちょっと前にNHKの番組で胃経の三里(オレンジの丸)というツボに鍼をすると、胃の働きが活発になることが紹介されました。

 

胃経という経絡上にあるので、胃に関係のあるツボとされてきましたが、科学的にもそれが実証された一例です。

 

レントゲンもエコーもなかった時代にそれがわかっていたわけですから、昔の人の観察力って本当にすごいですよね。

 

私は、様々な治療を試してみても、なかなか改善しない体調不良でお悩みの患者さんのお手伝いをさせていただきたいと思い、日々鍼灸治療を行なっています。

 

もう治らないとあきらめておられる方、私の症状はどうかしら…と心当たりのある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

次回は「〇〇に効くツボ」についてお話したいと思ってます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

鍼灸ってなんで効くの???

これから何回かに分けて、いろんな病気の原因をできるだけわかりやすくお話ししていきたいと思っています。

 

その前に、病気を治すのに鍼とお灸で一体何をしてるんだろう???ということをお話しします。

 

鍼灸の効果の基本は、何よりも「循環の改善」にあります。

 

循環しているものと聞いて何を思い浮かべますか?

 

 

血液、リンパ液…

 

 

そうですね、西洋医学では血液やリンパ液などの体液循環のことを言います。

 

ちなみに大人の身体に含まれる水分は体重の約60%です。体重が50kgの場合には実に約30リットルあります。

 

東洋医学ではそれに「氣」の概念を合わせて「氣」「血」「津液(しんえき:血液以外の水分)」と分類しています。

 

ここで「氣」と聞くと不思議な目に見えないもののように思われる方が多いと思いますが、そんなことはありません。

 

身体を循環している血液やリンパ液を「水」としたら、その水に含まれる栄養分を「氣」とイメージしてもらえれば良いと思います。

 

栄養分(エネルギー)を含んだ水分が体中を循環している、というわけです。

 

そう聞くとものすごく健康そうに思えませんか?

 

これらのものが充実して、滞らずに巡っているのが健康な状態です。

 

私はこの「氣・血・津液」3つをひとまとめにして身体を流れる「水」としてこれからお話ししていきます。

「水」が身体の中を滞らずに流れている状態なら動きすぎて疲れたり、何か問題が発生しても、一晩寝るか休養するだけで回復します。

 

ところが、ほとんどの病気や体調不良では、ある部分で流れ過ぎていたり、流れが悪くなっていたりなど過不足が生じて、循環がスムーズでなくなっています(循環障害)。

 

循環障害が発生した部位では、コリ、痛み、しびれ、 重だるさ、冷え、過剰な熱などの不快な症状が出てきます。

 

頭で起これば頭痛・めまい・耳鳴り、首や肩ならコリ・五十肩・手のしびれ、腰なら腰痛・ヘルニア・狭窄症、そのほか関節の痛みなどなど。

 

例えば頭痛なら、頭の血管が緊張してキュッと締まって流れる量が少なくなっても、逆に血管がゆるゆるになって流れが遅くなっても頭痛は起こります。

循環に問題がある!状態を痛みという信号で送っていると考えます。

 

鍼灸は鍼と艾(もぐさ)という、ごくシンプルな道具を使ってツボ(経穴)を刺激することで血管の緊張や弛みの原因を解消します。

 

そうすると「水」がスムーズに流れ出すので症状が改善していくというわけです。

 

今回挙げた例はごく一部です。

 

私は、様々な治療を試してみても、なかなか改善しない体調不良でお悩みの患者さんのお手伝いをさせていただきたいと思い、日々鍼灸治療を行なっています。

 

もう治らないとあきらめておられる方、私の症状はどうかしら…と心当たりのある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

 

次回はツボについてお話しします。

 

※ツボのことを専門的には「経穴(けいけつ)」と言いますが、ここではわかりやすくツボとして説明していきます。

このエントリーをはてなブックマークに追加